まだまだ知られざるドイツの歴史探訪の旅。偉大な芸術がうみだされた現場や歴史の舞台となった場所を訪ね歩くことで、紙の上に留まらない活きた文化を醸成してゆく地道な旅の記録です


by fachwerkstrasse

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© 2010-2011 M.UNO

2005年よりドイツ在住
NRW→Thüringen→Hessen
と放浪の旅を経て、現在は
ドイツ・ハイデルベルク大学 
会議通訳修士課程 在籍中

日本独文学会幽霊会員
日本ヘルマン・ヘッセ友の会/
研究会幽霊会員


[翻訳] 

ヘルマン・ヘッセ:インドから
(ヘルマン・ヘッセ全集第7巻)
臨川書店(京都)

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なぜ「木組み街道?」 (6) - 木組み街道との出会い -

そもそものきっかけは、これまでに滞在してきた地域で学生証を使いきろうとしたことだった。(ドイツの大学に学籍登録すると、近郊地域の公共交通機関が乗り放題になる学生定期学生証にプリントされてついてくるか、安価で購入できる)

そんなことでもなければ、およそ訪ねる機会のないような田舎町に繰り出したのである。

なぜ「木組み街道?」 (6) - 木組み街道との出会い - _b0206899_045138.jpg

[Manebach im Thüringer Wald 2007 © DFS All Rights Reserved]

テューリンゲンにいた時には、J.S.バッハ(およびその一族)の足跡を訪ねて、またゲーテをはじめとするドイツ古典主義文化の重要な舞台となった場所が、今でも当時のまま残っているため、それをこの目で確かめることも狙いだった。

下の写真は、バッハが教会専属のオルガニストとして最初に就職したアルンシュタット市の市庁舎前広場に立つ若きバッハの像。 まさにこの広場で、新進気鋭の音楽教師ヨハン・セバスティアン・バッハ氏は、自ら率いる教会付属聖歌隊の隊員であるファゴット吹きの男から喧嘩を売られたのだった。この男、昼間に先生からボロクソに叱り飛ばされたことに逆切れしてかかったのだが、未来の大先生も負けじと、剣を引き抜き応戦。あわや決闘騒ぎとなった。才気溢れる新米先生の方が年下だったこともあり、田舎町の聖歌隊とはウマが合わなかったらしい。
なぜ「木組み街道?」 (6) - 木組み街道との出会い - _b0206899_04722100.jpg

[Arnstadt, Bachdenkmal auf dem Markt 2007 © DFS All Rights Reserved]

(ワイマールの国民劇場前に立つゲーテとシラーの像。ドイツを象徴するあまりにも有名な構図だ)
なぜ「木組み街道?」 (6) - 木組み街道との出会い - _b0206899_0484252.jpg

[Weimar, Theaterplatz mit Goethe-Schiller-Denkmal 2009 © DFS All Rights Reserved]


それからヘッセンに移って、はじめてこの木組み街道の存在を知り、それをもとに、電車やバスを乗り継いで、様々な街を実際に自分の目で確かめてきた。このようにして、幼少の頃から親しんできた歴史や古典文化の「現場」を見る旅を続けてきたわけだが、いつしかそれは、自分の中で「生きたドイツ文化研究」となっていった。自らの見聞が、それ以前に自分が学んできた音楽、文学、哲学、宗教などの知識と共鳴し合うようになり、いきいきと血の通った体験へと変化してゆくのである。

したがって、木組みの家の紹介にとどまらず、広く文化や歴史と伝統の探求についても、ここでまとめていくことになるだろう。自分にとっては、音楽や古典文化を探る旅と同様に、こうした木組みの家を訪ね歩く旅もまた、文化の源泉に迫る大切な勉強の一つなのだ。

(中部ヘッセンの木組み街道の街ヴェッツラー。『若きウェルテルの悩み』の舞台となった街である)
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[Wetzlar, Eisenmarkt 2007 © DFS All Rights Reserved]
by fachwerkstrasse | 2010-09-22 01:12 | なぜ木組み街道?