まだまだ知られざるドイツの歴史探訪の旅。偉大な芸術がうみだされた現場や歴史の舞台となった場所を訪ね歩くことで、紙の上に留まらない活きた文化を醸成してゆく地道な旅の記録です


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© 2010-2011 M.UNO

2005年よりドイツ在住
NRW→Thüringen→Hessen
と放浪の旅を経て、現在は
ドイツ・ハイデルベルク大学 
会議通訳修士課程 在籍中

日本独文学会幽霊会員
日本ヘルマン・ヘッセ友の会/
研究会幽霊会員


[翻訳] 

ヘルマン・ヘッセ:インドから
(ヘルマン・ヘッセ全集第7巻)
臨川書店(京都)

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ドイツ『週刊経済』誌 編集長 Roland Tichy氏のメッセージ

Katastrophe in Japan  Liebe japanische Freunde,

親愛なる日本の皆様へ、

この場をお借りしまして、被災者やそのご友人、ご家族やご親戚の方々、ならびに在独邦人の皆様にもお悔やみを申し上げます。また、この百年に一度と言われる大災害に対するドイツの世論の反応を大変恥ずべきものと考えています。何十万もの人々が家を失い、雪と寒さの中で行方不明の方々に思いを馳せては悲しみに暮れ、また数百万もの日本の方々が放射線の危害に怯えて暮らしています。

ひるがえってドイツはといえば、政府が非常事態を宣言しているのです。しかし非常事態なのはむしろドイツ人の頭の中ではないでしょうか?ヨウ素剤や放射能測定器を買いに走る人がいるかと思えば、テレビではぬくぬくと暮らしている視聴者に向かって、まるでこの世の終わりであるかのように煽りたてています。しかし実際に災害現場で起こっていることを考えると、これらは馬鹿にしているとしか映りません。

いやらしいことに政治家たちはこの迫りくる核災害をいいことに、党利党略に走っています。同じドイツ人として日本の皆様に申し訳なく思いますが、同盟90/緑の党のクラウディア・ロート党首は、デモ行進の人達の列でわめき散らし、次の選挙には勝ったも同然と内心ほくそ笑んでることでしょう。しかしそれはまだ行方不明のままの犠牲者を冒涜する行為であり、被災者の方々のことがすっぽりと頭から抜け落ちているのです。

また、日本の首相から直接情報が上がってこないといって苦言を呈していた大臣がおりました。これについても申し訳なく思います。これだけドイツの世論が敏感になっているのに日本政府が構っている余裕があるとでも思っているのでしょうか。さらにこうしたドイツの恥ずべき姿に拍車をかけたのが日本に向かった救助隊でした。成田空港で迎えが来なかったといって、すぐに引き返してしまったのです。所詮は同情ではなく旅行気分だったのでしょう。メディアも憶測と事実を混同し、はなから「チェルノブイリの再来」を吹聴しています。同業者として恥ずかしく思います。こうしてドイツはパニックに陥り、同情し痛みを分かち合い、被災者の方々のお気持ちに配慮することができなくなってしまっているのです。

日本の皆様の冷静沈着さにはつくづく驚かされます。そうかと思えばドイツ国内では狂ったように騒ぎ立てるばかりで、お恥ずかしい限りです。ドイツ人の振る舞いは、まるでしつけの行き届いていない子供の様で、わがままで自己中心的で、はっきりいって無慈悲です。

しかしドイツにはそうでない人達がいることも、どうか忘れないで下さい。彼らは沈黙し、想像を絶する痛ましい光景に心を動かされているのです。そして原発の技術者や自衛隊員の方々が我が身を省みず、最悪の事態を食い止めるため、自らの健康やいのちを危険にさらしているその姿勢を目の当たりにして、深い敬意の念を抱いているのです。

私達は日本の皆様と心を一つにし、上から目線で語ったり、自分達が正しいなどと言うつもりもありません。まして自然災害にどう立ち向かうべきか教えてやろうなどとは夢にも思いません。皆様とともに謹んで哀悼の意を表したいと思います。

ドイツ・Wirtschaftswoche誌 編集長 Roland Tichyより

追記

3月28日付の同誌13号にて、私の翻訳のことが読者投稿欄で取り上げられました。
Tichy編集長ならびに「週刊経済」誌に、この場をお借りいたしまして、厚く御礼申し上げます。
また、ブログを訪れて下さった何千人もの方々にも御礼を申し上げます。
皆様のコメントには、大変勇気づけられました。

こちらが、その最新号

Im Leserforum der Wirtschaftswoche, Ausgabe 13 am 28. 03. 2011 (Seite 121)
wurde meine Übersetzung erwähnt.
An dieser Stelle möchte ich mich nochmals bei Herrn Tichy und dem Magazin recht herzlich bedanken. Ich danke Ihnen auch, liebe tausende Besucher meines Blogs!
Ihre schöne Kommentare haben mich sehr ermutigt!


Der Link zur aktuellen Ausgabe
by fachwerkstrasse | 2011-03-20 10:00 | 雑感

ドイツに降り注ぐ放射能

前回の更新から、またまた一カ月以上が経過してしまいました。
急に仕事が入ったり、思いもがけず天気がよくなったので、旅に出たりしていて(木組み探訪の旅に出ると、更新ができなくなるのですよね。。。)執筆のための時間がまったくとれませんでした。

そして今回の東日本大震災。信じられないような出来事が次々に報道され、まずそれを自分の中で受け止めることと、正確な情報を収集することに翻弄され続けた。しかしもっとも信じられなかったのは、ドイツメディアの報道ぶりだ。震災の被害はすっかり影に隠れ、従来からアレルギーの強い原発と放射線に関する話題で持ち切り。そしてそれは視点の違いという次元を超えて、自然科学的な事実やデータ、そして常識を無視した「デマ報道」と化していった。

あまりに今回のことで失望したので、名指しで批判するが、ドイツを代表する高級紙シュピーゲルと南ドイツ新聞(こちらは特に左派の論客揃い)は、まるで日本が核に汚染されるのを願っているんじゃないかと本気で勘ぐってしまうくらい「チェルノブイリの再来」「死の灰が東京に」「あわれな現場作業員たち/彼らの命はもう長くない」「原爆から何も学ばなかった日本」といったセンセーショナルな見出しで、崩壊した原発や防護服を着た作業員の写真を、まるで映画の宣伝のようにちりばめていた。

日本でも左派や脱原発はを中心に、事実をゆがめた報道があったようだが、ドイツの場合はそれが世論の大勢を占めていたといっていい。しかもドイツ外務省は、真っ先に日本からの退避勧告を出して、ジャーナリストも引き上げていったため、現場は当然見ていない。事態の推移は他のメディアからの孫引き、そしてドイツ国内の専門家による机上の理論を引用して、徹底的に悲観的なシナリオを書きたてていた。

相手は原発と放射線であり、物理学や工学的に実態のわかっているものである。しかし、まるで怪獣が上陸したかのような騒ぎぶりで、東日本全域がすでに壊滅状態となっているという印象を、見事にドイツ国内に植え付けてくれた。私に同情の言葉をかけてくれる人たちの目は、まるで故郷を喪失した者に対する真の憐みのまなざしだった。それを観て、私は逆に彼らがメディアにだまされていることに同情の念を禁じえなかった。

しかしこれは世論の動きであり、周りにいる友人たちや、彼らがさらに周囲の人たちと語っていることによれば、たいていのドイツ人はまともにものをみていて、メディアのヒステリーぶりを批判していた。しかしそれを補って余りあるほどのデマ報道に、もう自分はこの国が心底嫌になりかけていた。これは在独邦人のほとんどが感じた、率直な感想であろう。


しかし、そんな中に一筋の光が見えた。事態を見かねたドイツ経済史の編集長が、こうしたドイツの在り方を批判し日本に深い同情の気持ちを寄せる文章を公開したのである。

これほど心に深く訴えかけて、いろいろなわだかまりを解いてくれたドイツ語は初めてかもしれない。これまでのデマ報道には非常につらい思いをしてきたが、逆にこれを読むためにドイツ語を勉強してきたのかもしれない、と思わせる、心のこもったものだった。

さっそくそれを日本語にしてみた。その全文をここに掲載する。
by fachwerkstrasse | 2011-03-20 09:57 | 雑感