まだまだ知られざるドイツの歴史探訪の旅。偉大な芸術がうみだされた現場や歴史の舞台となった場所を訪ね歩くことで、紙の上に留まらない活きた文化を醸成してゆく地道な旅の記録です
by fachwerkstrasse
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ベルリン中央駅© 2010-2011 M.UNO
2005年よりドイツ在住
NRW→Thüringen→Hessen
と放浪の旅を経て、現在は
ドイツ・ハイデルベルク大学
会議通訳修士課程 在籍中
日本独文学会幽霊会員
日本ヘルマン・ヘッセ友の会/
研究会幽霊会員
[翻訳]
ヘルマン・ヘッセ:インドから
(ヘルマン・ヘッセ全集第7巻)
臨川書店(京都)
当ブログに掲載の文章・写真の無断転載を禁じます。写真下に
[©DFS] と記されている場合、著作権は全てブログ著者に帰します。それ以外の写真や引用は、その都度出典や著作権元を明示しております。
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待降節 第4主日 & ミヒェルシュタットのクリスマス市
早いもので、もうアドヴェントも、はや最後の4回目。
あとはクリスマスを待つのみだ。
今回は、あまり人の出が多くなく、しかも
雰囲気満点のクリスマス市をご紹介したい。
フランクフルトの南、ダルムシュタットからさらに南へ
ハイデルベルク、東はマイン川の方にかけて広がる
オーデンヴァルト(オーデンの森)は、温暖な気候と
風光明媚な土地柄で、保養地として人気が高い。
このオーデンヴァルトの中に佇むミヒェルシュタットは、
この地方でももっとも古い街の一つだ。木組み街道にも
リストアップされており、古き良き中世以来の面影を残す
小さな街。いずれ、ここも木組みカテゴリで
じっくりと取り上げていきたい。
____________[Michelstadt Rathausgäßchen 2010 © DFS All Rights Reserved]
フランクフルトとハーナウから南に向かって、エーバーバッハまで伸びている田舎路線の駅があるので、
鉄道でも訪問できる。フランクフルトからは本数は少ないが直通の電車も出ているし、途中で乗り換えや
ハーナウ経由などにすれば、本数も増える。ハイデルベルクからは、ネッカー川沿いのSバーンでエーバーバッハまで行き、そこで逆にフランクフルトに向かうオーデンバルト鉄道に乗り換えて、一時間ちょっと。
古い街並みを観光名物にしているとはいえ、大都市から離れているため、あまり観光客が大挙して押し寄せることはない。こういう田舎町だと、たいていアドヴェント中の週末にしかクリスマス市を開催しないことがあるが、ここは毎日営業している。立地や街の大きさを考えると少々意外な気もするが、週末でもほどよい人の出で、平日だと地元民がぽつぽつをそぞろ歩いている程度なので、のんびりと落ち着くことができる。毎日20時までグリューヴァインや民芸品などの屋台がやっている。
この街のマルクト広場と、市庁舎のアンサンブルはドイツでも特に有名で、
イルミネーションに彩られ雪に覆われた広場の光景は、まさに芸術品。
_______[Michelstadt Marktplatz 2010 © DFS All Rights Reserved]________
帰りは電車ではなく、バスでエーバーバッハまで戻る接続。しかし雪のためか、バスは15分遅れで到着。
エーバーバッハでの乗り換え時間はわずか10分ほどしかない。果たして間に合うのだろうか?
路線バスなので、一旦市内を周回した後、隣町のエアバッハを抜け、バスは一面真っ暗な道路を
ひたすら走ってゆく。頼りになるのはフロントライトに照らし出される雪化粧の景色の断片だけだ。
ときおり、木組み建築のある名前も知らない小さな村や、原っぱの真ん中の何もない所も通過してゆく。
丘の上に、ライトアップされた立派な古城址もあった。またライトに照らし出された中に、ピンポイントで浮かび
上がっただけなので、その全貌は掴めなかったが、100年程前とおぼしき巨大な煉瓦造りの橋脚もみえた。
途中、カーブの度に停車するノロノロ運転の車がいて、ますますイライラが募る。
また、ある地点では道路の状態が悪く、激しい音を立ててバウンディングすることもあった。
もう一人、同じ電車を目指しているおばさんがいて、運転手としきりに話している。
「いつも電車はだいたい時間通りに来るかね?」 - 「そうねぇ、ここの路線はめったに遅延しないわね」
夜なので、一応その辺のことは考えてくれているようだ。
はたして、暗い山道を抜けてネッカー川に出た時には、ほっとした。発車までまだ7分ほどある。
川沿いをしばらく走り、エーバーバッハの旧市街を抜けて駅まで向かうが、こういう時は一秒一秒が長い。
なんとか乗り換え予定列車の発車数分前にエーバーバッハの駅に到着。
おばさんと、ダッシュでホームに向かったが、無事に間に合ったようだ。
二人で「間にあった、ついてたわね」と話をする余裕もあったほど。
聞けばこのおばさん、なんとプフォルツハイムまで行くとかで、この電車を逃したら、もう接続がないところ。
Sバーン自体は30分おきに走っているので、僕はこれを逃してもそれほど問題ではなかったが、見渡す限り
一面雪だらけの、冷たい吹きっ晒しのホームで30分電車を待つのは、さすがにつらい。無茶な運転をせず、
しかもギリで接続の電車に間に合わせてくれた、サンタクロースのようなおじちゃんの運転手に感謝だ。
旅は道連れ、世は情け。こういうことがあるから、道中は常に気が抜けない。
しかしまた、これが旅の醍醐味でもあったりするから、おもしろい。
________[Michelstadt Rathaus 2010 © DFS All Rights Reserved]________
by fachwerkstrasse
| 2010-12-19 23:55
| クリスマス