まだまだ知られざるドイツの歴史探訪の旅。偉大な芸術がうみだされた現場や歴史の舞台となった場所を訪ね歩くことで、紙の上に留まらない活きた文化を醸成してゆく地道な旅の記録です


by fachwerkstrasse

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© 2010-2011 M.UNO

2005年よりドイツ在住
NRW→Thüringen→Hessen
と放浪の旅を経て、現在は
ドイツ・ハイデルベルク大学 
会議通訳修士課程 在籍中

日本独文学会幽霊会員
日本ヘルマン・ヘッセ友の会/
研究会幽霊会員


[翻訳] 

ヘルマン・ヘッセ:インドから
(ヘルマン・ヘッセ全集第7巻)
臨川書店(京都)

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なぜ「木組み街道?」 (7) - 真実の自己を求めて -

そして、こうした街並みや人々の生活、食べ物などを実際に自分の五感をフル稼働して体験し味わったことで、今ドイツ文学の作品を読むと、まるで違ったもののように思えてくる。バッハが生きていた土地を訪ね歩いた後では、その音楽も自分の中では、今やまったく違う響きとなっている。

(バッハが宮廷楽長として奉職したケーテンの街)
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[Köthen, Magdeburgerstraße 2007 © DFS All Rights Reserved]

だから、いかに様々な理論が発達し、作者や読者のあり方について、批判的な見解がどれほど上梓されようとも、自分にとって芸術とは、これらの歴史の中で生み出されたものであり、作品が生み出された当時とは価値観も習慣もまるで異なる現代に生きる我々であろうとも、歴史に敬意を表して、できる限りその現場にたって、同じ景色を見て、同じ空気を吸って、様々な音を聴いて、その時代を追想しながら自らの五感と渾然一体となって「感覚」として吸収して自分のものにし、書籍や現代の技術によって得られる情報によって肉付けしながら、知識と感覚を合致させてゆくことで、はじめて理解できるものなのである。それはまさに真実の自己を探求する旅、「内面への道 Weg nach Innen」であった。

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[Morgenrot zwischen Wechmar und Seebergen 2007 © DFS All Rights Reserved]

ドイツに住んで、はや5年。ドイツ語を学び始めて、はや12年。音楽について考え出して、はや10年。まるで空白のようだった10代の時間を取り戻そうとするかのように、なにかに突き動かされるように、自分でもそれがなぜなのか、いまいち把握しきれないまま、ここまで突っ走ってきた。その分失ったものもたくさんあった。

(自分にとって、この「道」の原点ともなった場所)
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[野尻湖 2004 © DFS All Rights Reserved]

でも今、これまで無我夢中でやってきたことが、着実に蓄積されて、新たにその先が見えようとしている。そして改めて原点に立ち返り、さらに豊饒な世界が広がっていると実感できる。なにかについて意見を述べたり論じようとしても、できなかった。今でもそうなのだけど、かつてはあまりにも物を知らなすぎた。それはまさに、霧の中を彷徨うが如くであった。  

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[Universität Erfurt 2006 © DFS All Rights Reserved]        

真夏の太陽が照りつける石畳の道を汗をかきながら歩き、石造りの教会に入って、嘘のような涼しさに身を委ねるあの感覚、あるいは木陰で涼む、また日本人にとっては質素に思える食事の描写が、現代でもなんら変わる事のない、普通の食事であること、そして歴史を重ねた木組みの家や、内部の小さな部屋、きしむ床、外の景色がゆがんで見える窓ガラス、そして優しく体を包むような、田舎でしか食卓に供されることのないあのすっきりとした白ワインの味わい… これらを自分のものとしていない限り、文学作品を、また音楽をも正しく理解することはできない、あえて自分はこう断言したい。そして、それをより確かなものにしていくためにも、これからさらに旅を続けることだろう。

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[Hirschhorn am Neckar, Hauptstraße 2010 © DFS All Rights Reserved]
by fachwerkstrasse | 2010-09-23 03:14 | なぜ木組み街道?